• トップ
  • マスクを外し、前を向こう

雄you遊

130号

巻頭言

マスクを外し、前を向こう

社長 小島 兼隆

2023/04/01

新入社員の諸君、入社おめでとう。
我々は、君たちを心から歓迎する。


 コロナの感染状況が落ち着き、先月13日からはマスク使用も緩和され、着脱は、個人の判断に任せることになった。日常生活でマスクがいらないのは、実に3年ぶりとなる。この3年間、感染予防が重視され、マスクの着用だけでなく、対面での交流はオンラインに変わり、在宅勤務などで外出の機会も減った。また、大勢で集まることの中止や会食時の黙食などの制約により、社会全体が内向きになっていった。
 ようやく、海外との行き来も始まり、企業活動も通常に戻り始めたが、欧米諸国がコロナとの共生にかじを切ったのとは対照的に規制を続けた日本は、リスク回避の思考が隅々に染み付き、内向きになっていると心配する声が聞かれる。
 しかし、日本人の内向き思考はコロナ以前からの課題ではないだろうか。例えば、閉店ラッシュが続く百貨店業界。1990年代には10兆円近くあった市場規模が、デフレの長期化や専門店の台頭により、年々その規模を縮小している。どの百貨店も経営の効率化に終始し、本来の価値である「先端品や希少性の高い商品を扱い、買い物客に夢とロマンを与える」という、強みを創出できなかった。百貨店は「無駄玉」を打てるのが真骨頂で、強みを削った守りの経営は延命策に過ぎず、生き残れる百貨店は一部に限られる。
 そもそも日本の強みは、「職場の生き字引」「現場のたたき上げ」といわれた現場の堅実な仕事ぶりだが、この数年、その力が大きく後退している。現場で何か疑問を感じて口に出そうとしても、「大勢が変わるわけではない」と引込めてしまう「事なかれ主義」という空気が蔓延している。何かあればすぐ叩く社会は、周囲から突出しないことだけを大事にする習性を生み出した。内向きの「事なかれ主義」が社会全体に忍び寄り、新たなマイナスを呼び寄せるのである。 
 せっかくマスクが外れたのだから、コロナ前からの宿題に前向きに取り組もう。何が強みで、何を捨ててはいけないか。「事なかれ主義」から脱却しよう。

ページの先頭へ戻る

投稿一覧