雄you遊

131号

巻頭言

人が育つ環境

社長 小島 兼隆

2023/06/30


 
ある社員が退職の挨拶にやってきた。入社して10年、一人現場も経験し、これから戦力として期待していたのだが、本人としては次のステップアップを考えて転職することに決めたらしい。そんな彼が、大型現場の受注が続く今の雄電社を見て「早い時期に若手社員に現場を任せる」雄電社の特色が薄れていくのではと心配していた。
 我々は受注産業であり、その時の状況によって現場も大きく変わる。会社としては、やはり大きな現場にチャレンジしたい。しかし、若手社員にとって、一人で現場を収めることは入社当時からの目標であり、現場代理人デビューの遅れは、早くから経験を積み、成長を目指していた者にとって失望につながるかもしれない。そんな若手社員に、会社の現状をしっかり説明し、一人ひとりに合った指示を与えることが必要だ。今、何をやるべきかを理解すれば、不安も解消され、それぞれの立場での役割が明確になってくる。
 そもそも仕事は、「指示、命令、実行、確認」の繰り返しだ。その流れをスムーズに、そして結果を導き出すには『報連相』が大事になる。「報連相」の頻度を増せば増すほど、きめを細かくすればするほど、問題点に気づき早く対応ができる。
 また、自らの知識を伸ばすため、自分の意志で何かを学び、新しい知識を得て、それを仕事に結び付ける『自己啓発』も必要だ。常に目標を掲げ、それを成し遂げようとする強い意志と、常に問題意識を持ち続け、問題を早期発見して対策が打てる柔軟さが大切となる。どんな会社でも、ひと皮むけばいろいろ問題を抱えている。問題がないように見えるのは、問題に気づいていないか、問題に気づいても目を逸らし放置しているかであろう。
 コロナや戦争など想定外のことが起こり、外部環境は激変したが、企業内でその変化に気づき、柔軟に対応できる組織やリーダーが育つ企業は、生き残ることができる。環境が人を育てるというが、どんな環境に置かれても、自らを高め続けて問題を乗り越えていく、その繰り返しにより成長していくのである。

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